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子育て支援制度レジストリを通じて「つながる」プッシュ型子育てサービス

東京都は、2030 年代を見据え、東京都が目指す DX の将来像を描いた「東京デジタル 2030 ビジョン」をもとに、「プッシュ型」「垣根を越える」「顧客最適化」の3つの変革に取り組んでいます。
GovTech 東京デジタル戦略本部 2030 戦略グループは東京都と協働しその第一歩として、デジタルとの親和性が高い「子育て世代」への支援を実施する「こども DX」に取り組んでいます。

今回は、その4つのプロジェクトのうち「プッシュ型子育てサービス」について紹介します。


「プッシュ型子育てサービス」プロジェクトとは

国・東京都・区市町村と様々な主体が支援制度を提供しているため、子育て当事者にとって必要な情報が分散し、「知りそびれ」「申し込みそびれ」「貰いそびれ」といった3つの●●そびれが発生しやすいという課題がありました。本プロジェクトは、子育て支援制度レジストリを構築し、民間のアプリ事業者の皆さまとの連携によって、アプリから利用者に応じて必要な情報を先回りで届け、3つのそびれをなくすことを実現することを目的としたプロジェクトです。

子育て支援制度レジストリ

GovTech 東京は、子育てに関する給付金や相談窓口など、都内各区市町村と東京都の子育て支援制度に関する公開情報について、誰もが簡単に探し活用できるよう、ユニバーサルメニューに準じた項目ごとにデータを抽出し、一覧化した「東京都版子育て支援制度レジストリ」を整備しています。

GovTech 東京、東京都及び一般社団法人こども DX 推進協会は、令和5年度に3者協定を締結し、都内の6自治体(千代田区、豊島区、葛飾区、江戸川区、町田市、瑞穂町)と先行して進めていた取り組みを起点としており、このたび、東京都全体のレジストリのオープンデータ化に至りました。

民間のアプリ事業者との連携
また、先行プロジェクトに参画いただいた民間のアプリ事業者の皆さまのご協力を得て、先行自治体を中心としたアプリ利用者に先回りで情報配信をすることで、プッシュ型子育てサービスの一歩を実現しました。

先行プロジェクト参画事業者(一般社団法人こども DX 推進協会)

今後も、民間のアプリ事業者の皆さまに本データを活用いただくなど、子育てアプリ等を通じて利用者のニーズに応じた給付金や定期健診の受診案内等の最適な情報を配信することで、子育て支援制度レジストリを通じて「つながる」プッシュ型子育てサービスを提供していきたいと考えています。

デジタルを前提とした社会運営のためのデータ基盤

「子育て支援制度レジストリ」においては、誰もが簡単に探し活用できるよう、「ユニバーサルメニュー」に準じて、項目ごとにデータを抽出し、一覧化しました。

「ユニバーサルメニュー」(以下、UM)とは国・自治体行政サービスに関する標準メニュー体系です。ユーザーである市民にとって探しやすい情報構造・分かりやすい表現となるように設計されています。
UM に沿ったサイトを作ることで、利用者は行政サービス情報を簡単に検索・活用できるようになり、自治体や Web 制作企業などサイト構築担当者にとっては、サイト構築運用の業務効率が改善されます。
また、UM は、行政サービスの設計や改善のプロセスにおいて、行政担当者やサイト構築担当者はもちろん、様々な利用者が参加して利用者のコエを反映できる、協働プラットフォームとしての役割も担います。

ユニバーサルメニューの概要 | 一般社団法人 ユニバーサルメニュー普及協会

ユニバーサルメニューを活用した主な効果としては、

  • 利用者にとってよりわかりやすい内容や項目、表現を工夫できること

  • 根拠法に基づいた行政サービスメニューや国・自治体間で共有できる体系であること

  • IDやタグを用いることで、制度やサービスの特定・属性・関連性を示すデータとなること

などが挙げられます。

前述のユニバーサルメニューの概要や定義等でも示される通り「制度を一意に示す識別子」「制度の内容を示す属性情報」「制度間の関連性の表現手段」などは、デジタルを前提とした社会運営のためのデータ基盤として重要です。

組織の垣根を越えた官民連携の仕組みとなるレジストリは、社会の様々な情報を構造化し、連携させることで、手続き・サービスが高速に最適化するものです。それによりデータを連携・管理・運用する上での行政のコスト削減にもつながり、結果としてデジタルを前提とした社会運営のためのデータ基盤になるといえます。

プロジェクトの進展と今後の展開

本プロジェクトではプッシュ型での情報配信と併せて、官民連携での効果検証を行い、レジストリにおける探しやすい・わかりやすい制度情報や項目・表現の検討、さらには制度やサービスの利用状況等の政策分析や標準化など、EBPM(Evidence-Based Policy Making、証拠に基づく政策立案)にも繋げていくことを目指しています。

プッシュ型子育てサービスにおける効果検証・EBPMのイメージ

先行プロジェクトにおいても、参画事業者の皆さまや自治体それぞれから閲覧や申請状況などの KPI を取得し、利用者の満足度等をアンケート調査することなどによって、効果検証を行いプロジェクトの改善や発展に努めてきました。

先行プロジェクト実施結果(出典:つながる子育て推進会議資料より) 

また、国では、東京都での先行プロジェクトを踏まえ全国のレジストリデータを調査しており、令和6年度~令和7年度にかけて「全国版子育て支援制度レジストリ」として取りまとめられる予定です。
子育て支援制度レジストリのようなオープンデータは、自治体や民間事業者の皆さまに利活用いただき、各制度やサービスの向上につながることが重要です。

東京都と GovTech 東京は、

  • 当事者の利便性向上に向け、官民でのレジストリの活用促進や掲載情報の更なる拡充

  • 自治体の負担軽減のため、産学官で連携し、レジストリの更新作業を補助するツールの開発

  • 民間事業者の皆さまが、さらに活用しやすくなるよう、レジストリを改善

などに努めて、引き続き取り組んでいきます。

GovTech 東京は、“情報技術で行政の今を変える、首都から未来を変える“というビジョンの実現を目指し、プッシュ型子育てサービスをはじめとして、東京都において実現するこども DX の各先行プロジェクトや実証事業を全国にも展開するべく、国(関係省庁)とも連携・対話しながら推進しています。

プロジェクトの詳細については、GovTech東京のホームページもご覧ください。

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