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当事者の声や現場・現地が「つながる」 そして次の世代につながるより良いサービスへ
東京都とGovTech東京は、「東京デジタル2030ビジョン」を踏まえた都民サービス変革の突破口としてこどもDXを推進しており、幅広いステークホルダーの皆さまからも広く意見を聴きプロジェクトに取り入れるため「東京こどもDX2025つながる子育て推進会議」を開催しています。
今回は、2024年12月に開催した第3回会議の様子をnoteでもご紹介します。
広く意見を聴き、プロジェクトに取り入れる「東京こどもDX2025 つながる子育て推進会議」
GovTech東京が東京都と協働で推進する 「こどもDXプロジェクト」では、関係する行政機関や民間団体等との連絡調整を図り、東京都のみならず、全国への展開を見据えています。
サービス基盤の構築や組織の垣根を越えたデータ連携等の推進を目的として「東京こどもDX2025 つながる子育て推進会議」が設置され、関係省庁や区市町村等をはじめ、子育て当事者も含めた幅広いステークホルダーの皆さまからも広く意見を聴き、プロジェクトに取り入れるべく2023年12月より本会議を開催してきました。(前回の様子はこちら)
第3回となる本会議では、GovTech東京業務執行理事の畑中より、始動から1年を迎えた4つのプロジェクト「プッシュ型子育てサービス」「母子保健オンラインサービス(PMH)」「保活ワンストップ」「給付金手続きの利便性UP」について、取組状況や各サービスの利用者の声などを報告しました。
顔は見えなくても温かさを感じられるような保活ワンストップサービスに
保活ワンストップサービスが一部都内自治体でスタート
保育園探しから入園までの手続がオンラインで完結する「保活ワンストップ」プロジェクトでは、GovTech東京が東京都と連携して約4か月で「保活情報連携基盤」を開発しました。民間保活システムと保育ICTシステム等を繋ぐことで、2024年10月末より保活ワンストップサービスの提供を一部の都内自治体でスタートしました。
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実際に利用した保育現場の声
今回、保活ワンストップサービスをスタートした3自治体(板橋区、足立区、調布市)では、計126の保育園が参加しました。利用者からは、見学予約の利便性や保活にかかる時間短縮など、満足度の高い結果となりました。
今回、連携自治体である板橋区から、副区長の尾科 善彦氏、高島平くるみ保育園園長の角田 真弓氏がゲストスピーカーとして会議に参加し、実際にサービスの担い手として使用した感想や保活情報連携基盤のシステムの既存機能の更なる利活用やバージョンアップへの期待について発言がありました。
実際に使ってみた印象は、保護者と保育園において大きな利点がある
① 操作画面が見やすいこと
② 操作が簡単であること
③ 時間の融通が利くこと
今後期待するもの
1.システムの更なる活用による保護者とのやり取りの円滑化
2.より現場に寄り添ったバージョンアップ
3.システムの広範な周知
「板橋区は共働き子育てしやすい街ランキングで全国第3位になりました。その理由の1つに、東京都と連携して2024年10月31日から保活ワンストップサービスを開始したことが上げられていました。」
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「システムが広く周知されることで、保育園見学が保護者様により身近になると考えます。園見学は入園前の保護者様と保育園とをつなぐ大事な事業です。保護者様が使いやすいシステムになるように、顔は見えなくても温かさを感じられるように、保活ワンストップサービスを行ってまいります。このシステムは保育園の業務軽減にもつながるものです。」
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子育てのそれぞれの時期に合ったわかりやすいサービス提供の工夫を
今回、共働き・子育て当事者という立場として、経営者でもあるスリール株式会社の代表取締役社長の堀江 敦子氏から、産後からの地域の子育てサポートの分かりづらさなど、当事者として感じる課題についてお話がありました。
3つの提案がありました。
1.産後からの地域の子育てサポートに関するスタンプラリー形式での提供
2.病児保育のオンライン予約システム
3.役所と企業間での就労証明の提出などによる保護者の負担軽減
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「自分が今どういったサービスが必要なのかというのが分からないために、行政でたくさんサポートがあるにも関わらず、使われていない、孤立育児をしている方っていうのも多くいます。産後からの地域の子育てサポートというのを「アフターバースケアプラン」という形で最初に作っていく。ちゃんと使っていくことを促すためにスタンプラリーみたいな形で、実施していく、ということができるといいのではないかなと思っています。」
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利用者・当事者視点を徹底し、少ないリソースだからこそデジタル化を
今回の会議では課題やフィードバックを踏まえ、
制度やサービスがより一層使われるようなアプローチを検討すること
システムや仕組みを作って終わりとせず、絶えず改善・バージョンアップに努めていくこと
ユニバーサルに使っていただけるような環境を作っていくこと
が重要であると挙げられました。
今回会議に参加した様々な立場の皆さまからのコメントも一部ご紹介します。
国(関係省庁)からのコメント
・デジタル技術を活用した子育て支援は、時間と場所を選ばないことや、次の世代につながるといった利便性を感じられる一方で、まだ個別最適の観点では足りないところも多い。
・利用者・当事者視点を徹底して、一連のジャーニーが完成した体験として提供できるように、サービスから逆算して、制度・業務・システムを一体的に改革していく必要がある。
・東京都のこどもDXプロジェクトでこれまで得られた知見・経験を活かして全国に展開していくこと、そして、自治体・事業者・利用者のそれぞれの声をよく聞きながら必要な見直しを図っていくことが重要。
参加自治体からのコメント
・行政手続をデジタル化することは、デジタルとの親和性の高い子育て世代にとって、ストレス・負担の軽減や時間の節約につながる必須事項であり、リソースが少ないからできないのではなく、少ないからこそデジタル化していくように意識を変えていく必要がある。
一般社団法人こどもDX推進協会からのコメント
・保活ワンストップについて「当事者目線で本当に必要なサービスを作ることができた」「事業者単独では難しいDXや業務の標準化について国・東京都が主導する施策に関わることができた」等の会員事業者からの声もあり、官民が連携・協働することで民間事業者だけでは解決しきれない保活課題の解決に向けた取り組みが推進した。
・保育施設の施設情報をはじめとしたオープンデータセットのさらなる整備や、保活関連手続き全般のデジタル化により利便性を向上させていくことなどが期待される。まだ不足している機能や、もっと良くできるところはあり、官民連携してこれからもサービスをより良くしていきたい。
当事者や現場・現地と「つながる」、サービスをより良く「磨く」、そして次の世代へ
次の世代に向けて、アイデアを出し合い、サービスを研ぎ澄ましていく
成果報告やゲストスピーカーの発表などを踏まえて、小池知事からは「いかに今の世代の子育て中の皆さんがとても楽しそうに子育てができるかというのは、次の世代にも関係していく」「これからも色々工夫しながら国との連携、そしてまた現場との連携、より研ぎ澄ましていきたい」などがあげられました。
現場の人が現地に近い人の声を聞く
最後に、副知事 兼 GovTech東京理事長の宮坂学より「デジタルサービスの特徴として、制度等を作る現場と、サービスを提供する現地との距離が開きやすい。現場である綺麗なモデルや観念論で仕事を組み立ててしまい、現地と合わないといったことがないよう、現場の人が現地に近い人の声をきちんと聞くことをこれからもしっかりと続けて、改善していきたい」と締めくくりました。
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当事者の声や現場・現地と「つながる」ことからサービスをより良く「磨く」ことで、次の世代につながることを目指し、皆で一緒に子育てしやすい社会を実現していかれるよう、GovTech東京は引き続き、こどもDXを推進していきます。
各登壇者皆様の投影資料
東京都・GovTech東京(畑中理事)資料(PDF)
板橋区尾科副区長・角田園長資料(PDF)
堀江敦子氏資料(PDF)
小池義則氏資料(PDF)
当日の様子はこちらをご覧ください
プロジェクトの詳細については、GovTech東京のホームページもご覧ください。
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