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PMH接続で進む官民データ連携のメリット、母子保健オンラインサービスの実現
GovTech東京デジタル戦略本部2030戦略グループでは、都民サービス変革の突破口としてデジタルとの親和性が高い「子育て世代」への支援を実現するべく、東京都と協働で「こどもDX」の4つのプロジェクトに取り組んでいます。
今回はデジタル庁が開発した情報連携基盤(PMH)を活用し、マイナンバーカード1つで医療費助成や予防接種を可能にする「母子保健オンラインサービス」プロジェクト、PMHへの接続促進等の取り組みについてご紹介します。
Public Medical Hub(PMH)って?
Public Medical Hub(PMH)は、デジタル庁が開発した情報連携基盤です。これまで医療費助成・母子保健・予防接種・介護保険等分野のサービスでは自治体が主体で提供され、その連携先は国民、自治体、医療機関・薬局といった数ある主体があり、当事者間での紙での情報連携にかかる業務負担や手間が多く、改善が必要な状況がありました。
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この問題を解決するため、医療DXの推進に関する工程表(医療DX推進本部・内閣官房)において、「関係機関や行政機関等の間で必要な情報を安全に交換できる情報連携の仕組みを整備し、自治体システムの標準化の取組と連動しながら、介護保険、予防接種、母子保健、公費負担医療や地方単独の医療費助成などに係る情報を共有していく」こととされました。
デジタル庁では、この情報連携の仕組みとして令和5年度(2023年度)に情報連携機能を有するシステム(Public Medical Hub:PMH)を開発し、希望する自治体向けに医療費助成分野、予防接種・母子保健分野を対象とした先行実施事業を開始しました。
今後、PMH で情報連携を行う制度やユースケースを増やすための機能拡充を行うとともに、対象の自治体、医療機関・薬局を拡大するため取組を推進していきます。
医療費助成分野における東京都でのPMHへの接続状況
「母子保健オンラインサービス」プロジェクト
東京都とGovTech東京は協働し、こどもDXプロジェクトの1つである「母子保健オンラインサービス」の一環として、都内区市町村及び医療機関等におけるPMHへの接続促進に向けて取り組んでいます。
自治体や医療機関等がPMH接続を行うことで、住民は各種医療費助成、予防接種、母子保健等について、マイナンバーカードがあれば資格確認ができ、マイナポータル上で問診票・予診票入力や接種履歴・健診結果の確認等を行うことが可能になります。
GovTech東京は、PMH接続やシステム改修等にあたっての技術的助言や関係機関との連携・調整などの支援を行っています。
医療費助成分野におけるPMHへの接続状況
難病・小児慢性・精神通院等の医療費助成については、東京都の各システムにおいて、今年度中にPMHとの接続が完了する予定となっています。都立病院をはじめとし、PMH接続が完了した医療機関等では、マイナンバーカードを医療費助成の受給者証として利用することが可能になります。
なお、すべての対象の医療機関が接続を完了した場合、該当する制度の都内の利用者数である約44万人の方が、マイナンバーカードを医療証・受給者証として利用可能となる想定です。
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(一部改変:第3回東京こどもDX2025つながる子育て推進会議資料)
PMH接続のための新たな補助制度が開始
東京都では、病院・診療所・薬局(以下、医療機関等という。)のPMH接続を促進するため、PMH接続に係るシステム改修を行った医療機関・薬局に対し、国の補助額に上乗せして補助金を交付する新たな補助制度「こどもDX推進に向けた医療機関等におけるマイナンバーカード利活用推進事業」が2024年9月から開始されました。本制度では、国の補助制度との連携や、デジタル庁の補助金申請システム(jGrants)の活用により、医療機関等の申請手続きを簡素化しています。
※当該補助制度の期限は2025年2月21日となっていますのでご留意ください。
医療費助成分野における今後の取り組みとしては、先行自治体域内の医療機関等を中心に、市町と協働して東京都の補助制度も活用した医療機関等のPMH接続を働きかけていきます。また、利用者が利便性を実感した先行自治体の事例を、区市町村や医療機関等に紹介することなどを通じて、さらなるPMH接続促進を進めていきたいと考えています。
都内区市町村におけるPMHへの接続状況
これまでに東京都では、区市町村(自治体)が実施していたこども医療費助成等について、デジタル庁と連携した説明会や意見交換等を実施したほか、GovTech東京は東京都と連携し、先行自治体や各システム事業者との情報連携・調整などを支援してきました。
令和6年度のPMHへの接続予定
都内区市町村(自治体)では、調布市、町田市、東村山市、瑞穂町、日の出町、奥多摩町の6市町が、今年度中にPMH接続完了予定となっています。
今後、医療機関等がPMH接続することで6市町のこども人口である13万1千人の方が、それぞれの分野で利用可能になります。
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(出典:第3回東京こどもDX2025つながる子育て推進会議資料)
自治体での PMH への接続促進に向けて
なお、今年度にPMH接続予定の医療機関等はすでに都内50以上の区市町村(自治体)に分布しており、住民が資格確認、問診票・予診票入力、接種履歴・健診結果の確認等を行うことを可能とするためには、医療機関等側のみではなく、自治体側のシステムにおけるPMH接続も必要となります。
都内区市町村(自治体)におけるPMHへの接続促進に向けた今後の取組みとしては、①今年度の進捗状況共有②次年度の都内区市町村・医療機関等に対する支援策③先行自治体の好事例の紹介などを行う説明会を開催する予定です。
PMH接続やマイナポータル活用の促進などによる官民でのデータ連携
PMH接続のメリット
今後、東京都および都内全域でのPMH接続が促進し、各連携先が「つながる」ことで、各分野で以下のようなメリットが想定されます。
医療費助成分野
・医療機関・薬局を受診する際に、マイナンバーカード(マイナ保険証)を医療費助成の受給者証として利用できるようになる
予防接種・母子保健分野
・事前に予診票や問診票をスマホ等で入力し、マイナンバーカードを接種券・受診券として利用できるようになる
・マイナポータルから、接種勧奨・受診勧奨を行い、接種・健診忘れを防ぐとともに、接種履歴や健診結果がリアルタイムにマイナポータル上で確認できるようになる
自治体での業務システムの標準化や、医療機関等での電子処方箋のためのシステム改修など、他のデジタル化対応も求められているなかではありますが、自治体および医療機関等の関連システム双方からのPMH接続が必要です。
医療情報の連携は、制度やサービスの提供者・利用者双方にとっての利便性の向上や手続きの負担軽減のみならず、将来的には医療の向上や研究開発等への貢献なども期待されます。
官民でのさらなるデータ連携
デジタル庁から、マイナポータルAPI仕様公開サイトで、「PMH情報連携 API」や「マイナポータル期間連携API」などが順次公開されています。
このようにPMHへの接続やマイナポータル活用の促進により、自治体や医療機関等のみならず、子育て等の当事者や民間事業者の皆さまともデータ連携が進むことで、デジタルファースト、ワンスオンリー、コネク テッド・ワンストップの実現につながります。
・PMH 情報連携 API
WEBサービス等を提供する民間事業者の皆さまは、このAPIを利用することで、利用者の同意を得た上で、利用者の医療情報をPMHから照会もしくはPMHへ登録することができるようになります。
・マイナポータル期間連携API
マイナポータルのAPI(薬剤や健診情報など)から情報を取得する際、ユーザー本人の同意に基づき、都度マイナ認証することなく、90日間継続してAPIから最新データを取得することが可能なAPIです。
GovTech東京は、次年度以降も東京都と協働して、都内自治体、医療機関等、及び各システム事業者の皆さまとの情報連携や働きかけ等を行うほか、東京都外自治体、国(関係省庁)、民間事業者の皆さまともそれぞれ連携・対話しながら、PMH接続や母子保健オンラインサービスの実現を推進していきます。
プロジェクトの詳細は、こちらをご参照ください。
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