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私が描く「技術立都」への未来

GovTech東京理事長の宮坂です。 12月1日から組織横断で初めてアドベントカレンダーに挑戦しています。最終日となる25本目の記事になります。 


なぜ、人間は巨大な組織をつくるのか

心理学者ロビン・ダンバーが示した「ダンバー数」によれば、ヒトを含む霊長類が安定的な関係性を維持できる人数は150人程度と言われている。この上限を超えると、集団は元来なら自然に崩壊してしまうほど複雑な相互関係を内包している。

それでも私たちは、見ず知らずの人々が共通の目標のもとに集い、さらに巨大な組織をつくる。
それは個々人や小規模な集団では到底乗り越えられない、大きな課題や困難な挑戦が社会に横たわっているから。組織が存在する意義とは個々の能力やリソースを結集し、新たな価値を創造することにあるのかもしれない。
GovTech東京は、「情報技術で行政の今を変える、首都から未来を変える」というビジョンを掲げ、こうした“大きな課題”への挑戦を続けてきた。自治体や国が抱える社会的課題は、個々人の善意や努力だけで解決できるものではない。

でも組織なら、個人の知恵や能力、リソース、時には文化をも掛け合わせ、長期的な視点で問題解決にあたることができる。そして首都・東京でやる。東京だからこそ、ここで生み出した価値を、全国へ、さらには世界へと共有し拡げていくことができる大きな可能性があると思っている。

GovTech東京の一年間の成果

この一年、GovTech東京は着実に歩みを進めてきた。

都内自治体とは様々な協働での取組を実施している。例えば、ITシステムの共同調達を推進することで20億円以上のコスト削減を実現。自治体によっては単独で調達するよりも10%〜50%超のコストメリットを効かせてデジタルツール等を導入することができた。参画した自治体間でナレッジ等を共有できる場も作られ、財政的にも運用的にも持続可能な構造の創出につながった。

子育てDXにも力を入れている。例えば、「保活」。保育施設の入所の空き枠情報や見学予約といった情報が散在しており、情報収集や申請の際に、子育て世代に手間と時間といった負担が生じていた。そのなかで、GovTech東京は東京都と保活情報連携基盤を構築。保護者が利用する民間の保活アプリや保育所における園務管理システムなどと連携することにより、保育園探しから入園までの手続きがオンラインでワンストップ化された。
市民が生活や仕事で忙しい中、こうした時間削減は日々のストレス軽減だけでなく、ライフスタイルそのものをも変える大きなインパクトを持っている。

人材面では、GovTech東京に優秀なデジタル人材が多数加わった。優れたデジタルサービスを外注だけでなく内製開発し、またそれを改善し続けることができるプロフェッショナルな技術者集団となるべく、今後も成長していきたい。

組織の一体感を高めるためのステップ

行政特有の慎重なプロセスと、テクノロジー界隈のスピーディーかつ柔軟な文化は、必ずしも容易に統合できるものではないことはこれまで身をもって体感してきた。だからこそ、よりフラットなコミュニケーションへシフトし、ナレッジを蓄積する仕組みと文化を大切にしている。

さらに、職員へのアンケートを行い組織サーベイを実施。組織コンディションや改善点を可視化した上で、経営合宿を行った。私も含めた経営陣が、ビジョン実現のために良い組織をつくるという決意を新たにし、それぞれのコミットメントも発表した。

そして、職員が一同に集う「オールハンズミーティング」をスタート。全員が同じ情報を共有し、組織として目指す方向性を確認する場を定期的に持つことで、一体感が醸成されてきた。

組織づくりは一朝一夕では進まないがこうした地道なステップこそが、基盤になると考えている。

100年先を見据えたデジタルガバメント

そしていま私たちは、さらに遠い未来を見据えている。

人生100年時代。子どもたちは、2120年代まで生きる可能性がある。サグラダ・ファミリアが100年以上の時をかけて未完の挑戦を続けているように、行政システムも100年単位での継続的な改善が求められるだろう。

1920年代からの100年間を振り返れば、戦争、復興、高度成長、バブル、情報革命、自然災害、グローバル化、そしてデジタル革命──社会の不確実性のなか、組織は歴史を超えて存続し、知恵と技術を蓄積・伝承することで大海原を航海し続けなければならない。

かつて「技術立国」という言葉が示したように、資源に乏しい国であっても、創意工夫と技術への貪欲な取り組みによって世界に貢献した。
いま、AIや自動運転、新素材など、時代を揺るがす可能性を持つ技術が数多く生まれつつある。この黎明期において、東京が技術に対して貪欲に挑戦し、成功モデルを全国へ、そして世界へと伝播させていくことで、再び世界が注目する「技術立都」にしていきたい。

中期経営計画で示す未来への道

私たちは初の中期経営計画を策定し、以下の目標を掲げている。

2040年目標

  • デジタルサービスに対する都民の90%以上がポジティブに評価

  • 誰もが使いたくなるサービスを生み出し、全国の半数以上の自治体で採用

  • 1000人以上のデジタル人材が公共領域で活躍、うち100人以上がCIO等の主要ポストで活躍

2027年目標

  • サービス品質の改革:「ダメなサービスを撲滅し、ダメなサービスを放置しない」を徹底

  • 内製開発力の獲得:外注開発+内製開発のハイブリッド型に転換

  • 持続可能な経営基盤の確立:サービス品質の変革や内製開発を持続的に進める経営の仕組みづくり

東京が新しいテクノロジーの実験場となり、その成功を全国へ、そして世界への貢献につなげていく。

首都から未来へ紡ぐ持続的な挑戦

2024年、GovTech東京は首都という舞台から“大きな課題”に取り組むための基礎固めをはじめた。
100年先まで使われるデジタルインフラや行政サービスを支え、市民が安心して暮らせる基盤を提供し続けため、でっかい課題に立ち向かうため、私たちはこれからも組織を磨き続けたい。

「情報技術で行政の今を変える、首都から未来を変える」私たちは、この約束を胸に、さらなる一歩を踏み出していく。

ハッピーホリデー、そして皆さまよいお年をお迎えください。

GovTech東京では一緒に働く仲間を募集しています。気になる方はカジュアル面談から。





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