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自治体向け「給付支援サービス」のメリットと最新の活用事例とは?
GovTech東京は、「東京都庁」と「都内62区市町村」のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進を加速するために、都庁のデジタルサービス局と協働する組織として2023年に設立されました。
「デジタルの力で 住民一人一人の生活を豊かに、そして幸せに」というミッションの実現に向けて、行政分野のデジタルサービス開発や、技術支援を担う専門家集団です。
デジタル戦略本部 官民共創グループでは、新サービス創出につながる最先端の知見を、多様なステークホルダーと協働しながらGovTech東京へ取り入れるべく、官と民の結節点となること、そして「官と官」同士も学び合い、知見を共有し合うことを目指しており、定期的な勉強会を開催しています。
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こんにちは!官民共創グループの米澤(よねざわ)です。私は民間企業からGovTech東京にジョインし、官と民が協力したチームで多様な視点や経験が融合し、新たな可能性を日々感じています。
本記事では、東京都庁と都内の自治体職員向けにGovTech東京が開催した「給付支援サービス」に関する勉強会の内容をもとに、そのメリットと導入事例を紹介します。
「給付支援サービス」は、2024年2月より、デジタル庁が提供している自治体の給付事務をサポートするデジタルサービスです。
本サービスは、給付の申請受付から振込までのプロセスをデジタル完結することで、迅速・効率的な給付を実現し、給付事務が大幅に削減されることを目的にサービスの提供を開始しました。
詳しくは下記をご確認ください。
勉強会では、講師にデジタル庁から住田智子さんをお招きし、自治体向けの「給付支援サービス」について、サービスの特徴とメリット、活用事例や利用者の声などを紹介いただきました。
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自治体の給付業務における課題
住田さんによると、 これまでの自治体における給付業務では大きく2つの課題がありました。
「自治体・住民双方にとって、多くの時間と手間がかかること」、そして「自治体ごとのシステムの開発・調達に非合理的な進めかたが残っていること」です。
課題①自治体・住民双方にとって、多くの時間と手間がかかる
コロナ禍における特別定額給付金などの各種給付金の事務処理では、申請や審査、結果通知がデジタル化されておらず、給付までに時間を要していました。また、住民は申請までに手入力が必要とされる多くの項目があり、申請完了後も、即時に給付金を受け取れず、必要な時に必要な給付を受けることができないケースもありました。
課題②自治体ごとのシステムの開発・調達に非合理的な進めかたが残っている
給付支援に係るシステム(住民向けフロントサービスから事務処理など)を、全国1741の基礎自治体がそれぞれに開発しており、効率的な給付システムの構築に課題がありました。
自治体向け「給付支援サービス」の特徴とメリット
デジタル庁は、コロナ禍の給付金支給をきっかけに表面化した自治体・住民双方の課題解決と、個々にシステムを調達するのではなく、全国の自治体が同じシステムを共通して利用してほしいという思いから、「給付支援サービス」を開発しました。
「給付支援サービス」を用いて、申請から給付までをデジタル上で実施できるようにすることで、迅速・効率的な給付ができるようになりました。
住民にとっては「手続きコストの最小化」が達成され、自治体にとっては「事務処理負担の最小化」に繋がりました。
住民にとって「手続きコストの最小化」
事前の自治体での対象者情報の登録や、必要な情報の自己情報取得API※の活用によるデータ提供により、面倒な多くの申請書記入・書類添付が最小限になりました。
自治体にとって「事務処理負担の最小化」
審査に必要な項目(公金受取口座情報を含む)について、自己情報取得API※を活用し本人がデータをセットすることで、対象者データの抽出時にデータ項目を削減できます。
審査内容によってはデータ取得をシステム的にチェックすることで事務処理負担を最小限に抑えることに寄与しました。
※自己情報取得APIとは、マイナポータルのサービスの1つで、行政機関が保有する利用者本人の情報(所得や世帯、口座情報など)を取得できるAPIです。詳しくは下記ページをご確認ください。https://myna.go.jp/html/api/selfinfo/index.html
住民の給付金申請は、以下の手順でマイナポータルを使ってオンライン申請します。
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自治体向け「給付支援サービス」の特徴をまとめると、次のようになります。
「給付支援サービス」の特徴
業務の効率化
自治体職員は、紙データと電子申請の両方を一元管理できるため、申請内容の入力や振込データの作成が簡単に。業務にかかる時間と労力を大幅に削減する。ミスの削減と業務の正確性向上
自治体職員・住民双方の手作業によるデータ入力が削減されるため、入力ミスの人的リスクが減少し、申請内容の正確性が向上する。迅速な振込作業
「給付支援サービス」上で起案や承認を簡単に、銀行に行かずに振込作業が完了。振込データを出力し、自治体で決められた方法で振込処理を行うことも可能。住民サービスの向上と住民満足度の向上
振込作業のスピードアップにより、住民への給付が迅速に行われ、行政サービスの質と住民からの満足度が向上する。コスト削減
業務が効率化されることで、従来の手作業に比べて人件費や運用コストが削減される。
最新の活用事例と利用者からの声
給付支援サービスは、2024年度の実証利用を含めて、既に全国各地の約100自治体の給付事務において、以下のユースケースで利用されています。
子育て支援
・子育て世帯への臨時特別給付金
・東京018サポート
(GovTech東京の「給付金手続の利便性UP」のサイトも、ぜひご覧ください)
生活支援
・住民非課税世帯等に対する臨時特別給付金
・物価高騰対応重点支援給付金
・調整給付
基礎自治体独自の給付業務:山形県寒河江市の事例
山形県寒河江市では、生活困窮世帯への給付など市が独自で実施する給付業務でも積極的に活用しています。
これまで給付に2週間以上かかっていた支給処理が、最短3日で振込ができた事例もあったそうです。
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また、給付支援サービスを利用した自治体と申請者(住民)双方からとても高い満足度を得ています。
自治体職員からはサービスの操作性やデザインについて高評価を得られました。
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また、サービスの満足度も高く、全体の88%の方が手続きを10分以内に完了でき、申請者からは手続きの簡単さが高評価でした。
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GovTech東京 業務執行理事とのパネルセッション
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勉強会後半のパネルセッションでは、デジタル庁住田さんとGovTech東京 業務執行理事 畑中洋亮によるパネルセッションを行いました。
畑中からは、東京都の018サポート事業におけるデジタル庁の給付支援サービスの活用事例 を紹介しました。
「従来、デジタル上で親子関係の確認は、住民から送られてきた健康保険証のコピーを自治体が手作業で確認する必要があり、多大な手間と時間がかかっていました。しかし、「給付支援サービス」を活用することで、親子のマイナンバーカードを用いたオンライン申請が可能になり、結果として 全体の70%以上の住民が10分以内で手続きが完了し、住民の満足度が向上しました」と、自治体目線での給付業務における課題解決と事例を紹介しました。
住田さんは、デジタル庁と東京都、GovTech東京との連携により、デジタル・プラットフォーム上で親子関係を確認するための新たな機能を開発できたことを紹介し、本機能を他の自治体にもニーズを確認し展開していく意向を表明しました。
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パネルディスカッション終了後には参加者から導入に関する具体的な質問が寄せられ、本サービスへの高い関心がうかがえました。
今回の勉強会の模様は、東京デジタルアカデミーポータルサイトにアーカイブ動画と当日投影資料、参加した自治体職員から寄せられた質問と住田さんからの回答も掲載しております。ログインの上、ぜひ本記事と併せてご覧ください。
※上記ポータルにログイン可能な東京都および都内区市町村職員の方のみ視聴可能となります。