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【開催報告】GovTech東京Meetup④~こどもDXシンポジウム 2024 Winter~(前半)

こんにちは。
GovTech東京の官民共創グループ、グループ長の小木です。
GovTech東京では、官と民がフラットに共創する中で、イノベーションを起こし、行政課題の解決策を導き出していくことを目指しています。
 このnoteでは、2024年2月21日に開催された「GovTech東京Meetup④~こどもDXシンポジウム 2024 Winter~」の開催報告・前半をお届けします。


はじめに

GovTech東京では、官と民がフラットに共創する中で、イノベーションを起こし、行政課題の解決策を導き出していくことを目指しています。 
今回のイベントは、「こどもDX」分野における様々なステークホルダーの施策や目指すゴールについて理解を深めることを目的に、GovTech東京と一般社団法人こどもDX推進協会との共催で開催されました。
 
冒頭、東京都副知事である宮坂学(兼 GovTech東京理事長)から、挨拶をしました。

宮坂副知事 挨拶

宮坂: GovTech東京は、できたばかりの組織であり、昨年9月に正式に事業を開始したが、この組織を作った理由の1つは、官民の共創をもっとやりやすい組織を作りたいという思いがあった。もちろん行政の中でできることはたくさんあり、今までもやってきたし、これからもやっていくわけだが、ギアを一段上げた官民共創をやってみたいなと。[宮坂副知事の、投影資料全体はこちら。]
 
「こども未来アクション2024」ということで、これは後ほど都の職員から説明があると思うが、都のこどもに関する取り組みは本当に幅広い。その横串の司令塔、こども家庭庁に当たる組織が、今までの都庁では無かったので、都政を横断するこども政策の司令塔である子供政策連携室ができた。今、新しいチームで新しい事業が始まるところ。
 
日本全国に広がるような「ジャパンモデル」と言われるものを、東京都とGovTech東京がファーストペンギンとなり、皆さんと一緒にプロトタイプを作っていきたい。


こどもDX推進協会小池義則代表理事挨拶

続いて、一般社団法人 こどもDX推進協会 代表理事である小池義則様から、ご挨拶をいただきました。

小池:[小池代表理事の、投影資料全体はこちら。 ]
 協会のミッションは、デジタル技術を結集し、社会全体で子育てを支えるための環境整備を推進していくこと。「こどもDX」と言っても、関わる方はたくさんいる。その中で、この協会は、みんなが共同してDXに向かう共同プラットフォームの役割を担っていこうと考えている。国・自治体、事業者。それぞれの立場・スタンスは微妙に違っているはず。協会は、それぞれの立場の理解を深め、連携しやすいような座組みをつくる、いわば「通訳」のような立ち位置を目指す。大事にしているのは、「協調領域」。やはり、民間にとっては、それぞれの優れた技術であるとかUI/UXを使って、保護者・事業者に対して価値あるサービスを作っていくというところが、非常に重要。サービスが乱立をすると、収集がつかなくなる。
 この1年間の成果の1つ目は、こども家庭庁への提言。こどもDXの論点も、1年前は曖昧だった。こども家庭庁と一緒に議論をさせていただいてきた。今後も交流・情報収集の機会をつくり、積極的に情報を発信できればと思う。


こども中心のDXを推進するための構想とポイント

トークセッション1では、「こども中心のDXを推進するための構想とポイント」をテーマに、初代こども家庭庁担当大臣の小倉 將信様、デジタル庁デジタル監の浅沼 尚様、こどもDX推進協会の理事の土岐 泰之様、宮坂学東京都副知事、GovTech東京の業務執行理事の畑中 洋亮の5名でお話しいただきました。
 
土岐氏:モデレーターを務めます、こどもDX推進協会の理事の土岐です。
まず第1のテーマ。こどもを中心としたDXを推進するための構想とポイント。「こどもDX」の特徴の1つは、利害関係者がたくさんいること。基本的には政府、自治体、公的な機関やDXサービスベンダーや保護者。全体の1つの大きな流れにしていくのは、簡単なことではありません。1番初めに起点としてお話をいただきたいのは小倉さんです。小倉さんが過去、こども家庭庁の準備室時代に作られた「ビジョン」の振り返りや今後の展望について、まずはお話を聞かせてください。
[土岐理事の、投影資料全体はこちら。投影したのは、p.1 ]



小倉氏
:小倉将信です。一昨年の8月にこども政策の担当大臣・兼・少子化担当大臣でもありました。子育て支援については、先日法案が閣議決定をされまして、3年間で3.6兆円の経済的な負担等軽減をするパッケージの具体策がまとまったところです。子育て自体が大変だという風に思われ続けている限りは、なかなかこどもを持ちたいと希望を持つ若い人は増えないんじゃないかというのが、支援策の出発点にあります。

こども政策の対象者は、これほどデジタルネイティブが圧倒的な割合を占めている政策は、他に無い。にもかわらず、現実としては、子育てにまつわる様々な手続きの大半は紙で何度も同じことを書いて行政・医療機関の窓口に持っていかなきゃいけない。まずここにしっかり手を入れようと、着任してすぐに検討チームを作り、準備室が事務局となり2023年の3月末、まさにこども家庭庁が発足をする直前に、ロードマップをまとめました。
 まず、子育て世代にとって、アーリーサクセスが実現し、変化が感じられるようになる──というのが目標。具体的には、出産時と育児時の10万円の経済的な支援を応援交付金として提供することで、子育てを応援するという政策が進められています。
 別の課題は、保育の充実です。処遇改善だけでなく、保育士の配置基準の改善も行っていきます。具体的には、4歳~5歳児向けに76年ぶりに保育士の数を増やし、保育士一人あたりが見るこどもの数を減らすーーという政策が進められています。一方で、潜在的な保育士が我が国には100万人います。その保育士の方々に戻ってきてもらうためにも、こどもと向き合う業務以外の書類仕事を保育のDXによってなくすことが求められています。
 これらの課題を解決するために、データやシステムの標準化、「ベースレジストリ」の構築など、中長期的な取り組みが必要となります。また、親御さんにとっては、SNSなどで情報が氾濫しすぎて正しい情報が伝わらないという問題もあります。データを収集し、プッシュ型で必要なサービスや情報が届けられるような世の中にしていくことが求められています。

土岐氏:今の「国全体」のお話を踏まえて、次に宮坂さんからお願いします。東京都では「東京デジタル2030ビジョン」を策定されたようです、これに向けた思いや、取組の方向性についてお聞かせ下さい。

宮坂:大きな課題意識としては、「品質の高いデジタル行政サービスを提供したい」ということがあります。
都の提供するデジタルサービスの手続きが使いづらいというお叱りを受けることがあります。職員も品質の高いデジタル行政サービスを提供したいと思っているし、一生懸命やっていますが、そういうことがある。
 技術力だけで解決できる問題は我々の力をつければいいのですが、そうもいかない制度的な話もあるので、そこにちゃんと向き合って解決を目指したいと思います。
 都も国も区市町村も交えて、切れ目のない子育て政策がたくさんあるにもかかわらず、システム的には切れ目だらけになっているという問題があります。切れ目のないデジタルシステム・サービスを目指して、みんなでつなぎなおそうじゃないか、というのが「東京デジタル2030ビジョン」で打ち出したことですね。
土岐氏:国の動きに合わせて東京都としてもビジョンを出し、シームレスで品質の高いシステムにしていこう、と。

浅沼氏:約70万人のこどもが毎年誕生している。驚くことに、出生届からそれに紐づく書類や手続きを調べてみると、最低でも6つの手続きがあり、それに関わる書類が数十枚あります。入力項目を調べてみると、国民健康保険に関する項目など、170項目以上ありました。1手続きあたり20分から30分。本当はそんなに時間をかける必要はないはずです。
 これらの問題を解決するためには、制度を変えていくことがポイントになります。具体的には、各書類の各項目を全部記載することが制度になっているので、これを変えない限りは、どんなに良いUIやデジタルサービスを作ったとしても、結局は170項目をデジタルで打ち込むことになってしまいます。我々の見積もりでは、多分20項目ぐらいでいけるのではないかと考えています。

土岐氏:こどもに関する1番初めの手続きのところからワンストップで完結させる未来を語っていただきました。畑中さんからも是非、これまでの国・東京都・GovTech東京など様々な立場での取り組みをご紹介ください。

畑中:初代の小倉大臣と一緒に政府の中で「こどもDX政策推進チーム」でプロジェクトをやっています。東京都でも連動して動きが始まっています。先ほどから出ている通り、「つながる」がキーワード。いろんなサービスがバラバラにあるのではなくて、それぞれが繋がっていく。[畑中理事の、投影資料全体はこちら。]

先ほど宮坂副知事から話がありましたけれども、東京都は昨年末に4つのプロジェクトを2025年度末までに実施すると発表しました。1つ目が、「プッシュ型で子育て支援情報を配信」する。様々な支援制度が存在するけれど、知りそびれ、もらいそびれということが起こっております。先回りで様々な情報をお伝えして使っていただくということを作らなくてはいけない。
2つ目が、子育て、妊娠から出産後、様々なライフステージに応じて、妊娠・健康診断・出産・予防接種・こどもの罹患ですとか、様々な医療との接点がありますので、これらについて政府がPMHという医療機関と行政、そして国民の皆さんをつなぐ連携基盤を用意します。これをできるだけ早く多くの自治体、そして医療機関とつないでいくということを、東京都でもやる。予防接種の接種券や医療証をマイナンバーに載せていくなど、そういった取り組みです。
3つ目が、保活のワンストップ。様々な民間あるいは自治体が、保活をできるだけ早くスムーズにやるためのサービスを提供されていますけども、これが例えば保育園の見学予約などに繋がっていない。これをつなぐような連携基盤というものを、保活のワンストップと呼んでます。保活から最後の申請、そして最後の通知に至るところまでワンストップで繋ぐような基盤を作っていけないか。こういった繋がる基盤を、民間の事業者の皆さん、自治体の皆さん、国そして東京都とGovTech東京が膝をつめて、1つの船でやっていきたい。

土岐氏:東京都の動きについて、宮坂さんにも補足をお願いできればと思います。組織づくりなど、どういった工夫があったんだろうなと。

宮坂:私が、というよりも、東京都の大きな方針として、知事もずっと「子育てだ、こどもだ」と、おっしゃっていて、「デジタルサービス局」や、「GovTech東京」ができる時も「こどものところはしっかりやってほしい」と言われていますし、「子供政策連携室」という新しいこども関連の部署ができたりして、知事の思いを組織的な形にしたのが今あげた3つの組織です。トップのそういう大きな方向性を出すというのは、改めて組織を動かす上では大事だと思いました。

土岐氏:国・デジタル庁・東京都・GovTech東京・民間も動き始めている。ここからさらに話をより具体の方向に持っていきたい。畑中さんから、官民連携で「こどもDX」をやっていく際に、こども「以外」の分野、例えば「医療」でもそうだと思いますし、他の業界での事例を踏まえながら、どこがポイントになりそうかお話をお願いします。

畑中:先ほど「プッシュ型」のお話しをしました。コロナ禍で我々は、プッシュ型行政サービスを提供したり受給したりする体験をしたと思う。医療機関に受診すると発生届が提出されます。当時、ファックスで保健所が大変だという話があったと思いますけど、発生届の事務は途中でデジタル化され、医療機関はご本人の手続きなしに発生届を保健所に提出し、それに基づいて健康観察の電話をしたりお食事をお届けしていました。原体験としては、プッシュ型行政とは、ああいう形で医療を受診すると、シームレスに情報が行政に行き、ご本人が同意しセキュアな状態ではありますけれども、行政が必要なサービスを自動的に提供する。本人が手続きをしなくてもいい、というところまで行くのが1つゴールです。

土岐氏:「コロナ」以外でも、能登半島での直近の地震でも、DXの必要性が感じられたのでは?

畑中:本当に多くの方々が被災をされて、大変な思いをされています。その中で、「データが揃っていない」ことが、大変な状況をさらに大変にしているーーと伺っています。例えば自主避難所であるとか被災された介護施設であるとか保育園も随分被災されて水が出ない。その際、こどもの清潔な状態を保てないので、こどもを預かれないとも聞く。つまり繋がっていないので状況が分からず、何の支援をしていいか分からない、といったことが起こっていました。ですから、マスターであるその施設のベースの、「どこで誰が何をしているのか」を把握する基盤、これを「レジストリ」と呼びますが、その整備をしっかりやらなきゃいけない。さらに、突発的な「避難所」の把握もできる仕組みも必要です。こどもの分野で言えば、「保育園の被災」に、課題がまだまだあると思っています。

土岐氏:「レジストリ」というキーワードも出ました。デジタル庁としても、システムの標準化など、様々な取り組みを進めてくれています。次に、浅沼さんから、これまでの取り組みでの苦労したポイントなど、共有いただけないでしょうか。

浅沼氏:標準化と聞くと、「みんなで合わせればいい」、という単純な話に思えるかもしれませんが、実際には制度やこれまでの経緯など、様々な要素が絡んできます。DXを進めるのは、時間もかかるし、周りのプレッシャーもあります。その中でDXを進める人たちが前に進んでいること、良くできたことを認識し、「褒める文化」を作り、全体の機運をよりポジティブにしていくことが大事だと思っています。

土岐氏:海外の事例で参考にしているものはありますか?

浅沼氏:デンマークなどでは、新しい制度を作る際にそれがデジタルサービスで適切に機能するか、ワンスオンリーやコネクトが可能かなど、チェックする仕組みがあります。しかし、日本では新しい制度を作る際にデジタル庁に確認するというプロセスはまだなくて、よかれと思って作った制度が実はワンスオンリーにならない、または新しいシステムを作らなければならない、さらに新しい業務を生んでしまうなど、問題が生じています。「サービスから制度を考える仕組みづくり」が必要で、デンマークの事例では、サービスを提供する際に、共通のシステム上のチェックプロセスや法規性上のチェックプロセスなどが標準化されています。

宮坂:インターネット業界に入った当初、1995年頃に、インターネット広告推進協議会という団体が、バナー広告のサイズを標準化したんです。それにより、メディアにとっても、広告スポンサーにとっても、共通のルールの上で競争する、非常に大きなインパクトを持つルールができた。

 

「こどもDX」推進や官民連携に向けて必要な視点や方向性

土岐氏:官民連携により、法規性の変革やデータ活用による政策立案の立体化が進むべきですね。広告の例ですと、おかげで何千億円もの市場が立ち上がったと。

宮坂:自分は、台湾のオードリー・タンさんを尊敬しており、よく思い出す言葉がある。「法律もコードであり、ソフトウェアもコード」――だと。たしかに、本当の要件定義は日本語の法律で行われています。我々はデジタルで要件定義をしますが、法律の要件定義以上のことをやったらアウト。デジタル社会の本当の要件定義の基盤は制度、法、ルール、規則、省令、政令などに本質がある。

土岐氏:小倉さんにもお聞きしたい。こども家庭庁の予算がおそらく5兆円前後であると思います。小倉さんも重要性を指摘されていた、EBPMを掲げた政策立案などが進んで行くんじゃないかと自分は思っている。そして、波及効果で民間の投資が立ち上がっていく。

小倉氏: 宮坂さんご指摘の、法律の変革だけでなく、規制緩和やシステムの改善も重要です。例えば、地方分権一括法による「里帰り出産」の際の自治体間の情報共有など、規制緩和も含めた取り組みが必要です。そして、「協調領域と競争領域」をしっかりと分けて、協調領域に関しては国や自治体が主導して決めていく。
 また、こどもDX政策の難しいところは、自治体の数が多く、関連政策のほとんどが都道府県や市町村を通じて行われており国による政策実施は少ないため、それらがしっかりとまとまっていかなければ、ユーザーから見ればバラバラに見えてしまうこと。引っ越した場合、データポータビリティがなく、事業者をスイッチできないと、ユーザー目線で見ても使い勝手の悪い制度になってしまいます。
 そのため、協調領域を作っていく。TYPESのモデル事業として、東京モデルが即ち日本モデルとなるような、そんな施策の展開の仕方を支援したい。

土岐氏:TYPESというキーワードも出ました。どう実証を進めていくべきか。畑中さんの意見はいかがですか?

畑中:「デジタル行財政改革会議」が総理直轄で立ち上がり、政府全体で国が標準的な基盤を用意し、その先にいろんな民間の方々とつながり、様々な便利な行政サービスを提供していく。国がどの基盤を整備・全国展開すべきかを、7つの領域で先行的に動かしていこうとしています。子育て分野で言えば「保活」や「保育」。先ほど小倉先生のおっしゃった保育現場の給付や監査。これを自治体ごとにシステムが分かれているのではなく、共通のデータベースであるとか、共通の連携基盤を用意して、そこを使ってやっていこうという「TYPES」の事業が始まります。自治体に手を上げていただきながら、全国展開できる「型」を作っていく。全国展開とは即ち、全国の様々な自治体、あるいは保育園のシステム等と繋がっていくということ。繋がる部分の標準化等は確実にしていかなきゃいけない。それを、できるだけ早く国民の多くの皆さんに届けるということは、民間の方々が、先んじてそういった「連携基盤」とつながる改修を行っていただくというような形で、国が勝手に連携基盤を用意するだけではなく、民間と一緒に「合わせて」いかないといけない。


終わりに:

土岐氏:そんな形でTYPESが動いていけば、今日お聞きした構想もより具体になっていく。まさに、官民連携の大きな一歩になる可能性を感じる部分です。
 我々がやろうとしてるのは、単なる民間だけの事業でもないし、単なる公的サービスでもなく、トータルとして社会インパクトをどう極大化していくか、という取り組みです。民間のビジネスが立ち上がったのも大事だが、こどもの幸福度だったり、場合によってはその自治体における税金の最終的な費用対効果が上がったなど、そうした部分を極大化することを目指したい。
 [土岐理事の、投影資料全体はこちら。投影したのは、p.3 ~ 4 ]

 最後に登壇者の皆さんから今日の話を踏まえて、今後のこどもDXに対する抱負を一言ずつお願いしたい。

畑中:とにかく「繋ぎまくるしかない」と思ってます。国が音頭を取ってTYPESを進めていく。ここには積極的にいろんな自治体が手を上げていかなきゃいけないし、東京もその1つ。そこを技術でGovTech東京は支えていく。今日見ていただいた通り、官民連携のそういう場を東京都として用意したのが、このGovTech東京。国よりも身近な官民共創の場が近くにあるということで、是非皆さんこの場を自分の「部室」のような形で使っていただけるように、我々も汗をかいていきたい。

浅沼氏:ユーザーの方々から見ると、国も省庁も自治体も別に違いはなく、「1つのデジタルのガバメントになる」ところをしっかり実現していく。その上で民間事業者さんとどう連携していくか。そこは、チャネルを分けずに、こういう場を使いながら一体で議論し方向性を決めていきたい。

小倉氏:規制緩和だけでなく、適正なマーケットを使う・作るための法・制度も重要。今の岸田政権が重要視しているのはスタートアップ、とりわけ社会的課題解決をしてくれるようなソーシャル・スタートアップの育成です。先ほど、土岐さんから「こどもの幸福度」の話がありましたが、ソーシャルスタートアップの方々が活躍できるマーケットを作るための制度設計を、規制緩和と合わせてやっていきたい。私も今は党の仕事に戻り自民党のデジタル社会推進本部で「こども政策DXプロジェクトチーム(PT)」の座長を務めています。そこでは、いろんな事業者に話を聞き、適切なマーケットメイクに向けた議論ができればよいと思う。

宮坂:小倉先生がおっしゃっていた、「子育て世代は、みんなデジタルネイティブ」という指摘は、本当に重要です。
 都はデジタルなど様々な取り組みをしていますが、時々「東京都だからできるんでしょ」と言われることもあるんですが、だから、東京都は成功しないといけないと思っている。東京都ができないなら、他ではできない。ノー・エクスキューズで、やる。「こども」の分野も同じだと思う。この年齢層でDXができなかったら、他の層でもできない。デジタルとこどもの分野は、我々が、ノー・エクスキューズで絶対にやらないといけない。

その際、先ほどから何度も出てくる「協調領域」は本当に大事。行政側の方でやることもあるけれど、「協調領域に乗る」という民間側の意思決定も必要になってきます。ルールで強制するのは簡単ですが、事実上の標準というのは作れる。多くの今日集まってくださっているこども関係のインパクト・スタートアップの皆さんも含めて、この協調領域に乗ろうと思うと、それが事実上の標準になり、マーケットは立ち上がっていく。
 先ほど、黎明期のインターネット広告の話をしましたが、最初に立ち上がった時に大きかったことは当時の大きなメディアが、きちんとその標準化の話に乗てくれたこと。もし有力数社が「いや当社はちょっと差別化したい」などと言い出していたら、まとまらずに終わっていたはず。民間の皆さんもぜひ協調領域に乗って、このこどもDX業界そのものを大きくしていこうという「志」の中でまとまってやっていければーーと思いました。

土岐氏:是非今日の議論を1つの大きなきっかけとさせていただき、官民連携でこのこどもDX市場を大きく育てていきたいと、その思いを強く持たせていただきました。登壇いただいた皆さん、本当に素晴らしいセッションをありがとうございました。

[後半・第二部の開催報告は、近日中に公開します]


GovTech東京では、今後とも多様なステークホルダーとの官民共創を加速していくためのMeetupイベントを随時企画していきます。最新情報は公式ウェブサイトやX(旧twitter)でお知らせします。
GovTech東京公式ウェブサイト
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各登壇者皆様の投影資料

 
・東京都副知事 宮坂学氏の投影資料
宮坂副知事挨拶スライド.pdf
・GovTech東京理事 畑中 洋亮氏の投影資料
畑中GTT理事スライド.pdf
・こどもDX推進協会代表理事 小池 義則氏の投影資料
小池協会代表理事挨拶スライド.pdf
・こどもDX推進協会理事 土岐 泰之氏の投影資料
土岐協会理事スライド.pdf
 


当日の様子はこちらをご覧ください


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