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都内自治体向けデジタルツールの共同調達を実施。共同化の基盤構築に向けてGovTech東京が果たす役割とは

GovTech(ガブテック)東京の「共同化グループ」は、東京都や区市町村と協働して、自治体間で利用できるツールやシステム等の共同調達・共同開発などに取り組んでいます。ゴールは車輪の再発明を防ぎ、自治体を超えた最大公約数の共同化を推進することです。

今回は共同化グループの岡部、金子、藤田、小暮の4名に、同グループが掲げるビジョンや令和6年度共同調達事業の取組について伺いました。


“デジタル基盤の強化・共通化”を見据えて活動

── はじめに共同化グループについて教えてください。

岡部:共同化グループは、デジタル基盤の強化・共通化に向けて協働事業に携わっています。東京都や区市町村の皆さんと協働し、デジタルサービスやソフトウェアなどの共同調達・共同開発に取り組んでいます。

メンバーは、GovTech東京の専門人材であるエキスパート職と東京都からの派遣職員であるICT(情報通信技術)職や事務職で構成されており、それぞれの得意分野を活かして連携しながら活動しています。

── 共同化グループが取り組んでいる協働事業について教えてください。

岡部:協働事業は、GovTech東京が提供している事業のひとつで、東京都・区市町村と共に協働しながら3つのサービスに取り組んでいます。

1つ目はデジタルサービスやソフトウェアなどを共同で調達、または開発する「共同調達・共同開発」。2つ目は東京電子自治体共同運営協議会から継承した電子調達サービス、電子申請サービスを運用する「東京電子自治体共同運営サービスの管理および運用」。3つ目が自治体がデジタルの専門人材を共同で活用する「人材シェアリング」です。

共同化グループでは、1つ目の「共同調達・共同開発」と2つ目の「東京電子自治体共同運営サービスの管理および運用」を担当しています。

ゴールは “より質の高い行政サービスを提供する” こと

── 協働事業において共同化グループが目指していることを教えてください。

岡部:私たちは、より質の高い行政サービスを提供することを目的としています。これまでは自治体ごとにデジタルツールやシステムを導入し、活用していました。しかし、それぞれの自治体で導入ツールの仕様作成や事業者の選定作業、導入後の研修などを行っており、、同じような作業に自治体職員の皆さんの時間が奪われていたのです。

デジタルツールやシステムを共同で揃えることでコスト削減のみならず、自治体間のノウハウ共有によるベストプラクティスの活用や調達プロセスの効率化が図れます。それらにより、それぞれの自治体で車輪の再発明を防ぐことができます。さらには、自治体の垣根を越えて知恵を出し合うことで、行政サービスのQOS(Quality of Service)の向上にもつなげていきたいと考えています。

── 共同化の基盤構築に向けて、どのように取り組もうとしていますか?

岡部:大きく4つのステップにわけて考えています。

1つ目は「知恵の共有」。各自治体の取組など情報を共有できる場を設けたり、共同化グループで行ったデジタルツール等の機能比較の結果や事業者との調整結果の提供を行います。

2つ目の「道具の共通化」では、デジタルツール調達における標準的な仕様書を作成したり、デジタルツールの共同調達を行います。

3つ目は、「業務の標準化」です。標準的な業務プロセスを含めた運用フローの整理、ガイドラインなど必要なルールの整備などを行います。

4つ目の「サービスの共通化」では、サービスそのものの共同での開発や開発したサービスの運用です。

区市町村の課題やニーズを汲み取りながら適切なツールを選定

── ここからは、プレスリリースも行った「共同調達事業」について伺っていきます。どのような取組を実施されたのでしょうか?

金子:共同調達事業は、東京都内の区市町村等と連携し、業務等で利用するデジタルツールの調達を実施しています。

※プレスリリースはこちら

具体的には、まずRPAやAI議事録、e-Learning(DXコンテンツ)など共同調達の対象となるサービスについて、それぞれ「共同調達に参加したい自治体はいますか?」と呼びかけ、募集していきました。

次に、各サービスに応募いただいた自治体と共に「どういった仕様が必要なのか」「どのように使いたいか」などを議論しました。さらに小暮さんがサービスを提供する事業者に依頼して、各自治体の担当者にデモを体験していただいたり、エキスパート職である藤田さんがツールの紹介やデジタル活用に関する知見を共有したりと、各自治体の皆さんが検討の幅を広げられるような活動を行いました。

最終的な仕様が固まったら、参加する自治体を再度募り、GovTech東京のデジタル人材や各自治体の職員と共に事業者を決定した、という流れです。

── 事業者の決定に至るまでにさまざまな苦労があったのではないかと想像します。

小暮:私は都内の市役所から東京都に転職したことで、実際に運用する側から自治体を取りまとめる立場になりました。各自治体の要望を踏まえた上で最適解を探っていく大変さをあらためて実感しました。

苦労した点としては、大きく2つあります。ひとつは、自治体や事業者の方々とのコミュニケーションです。事業者から共有されたサービスに関する情報を正しく伝達したり、各自治体が抱えているさまざまな課題や要望などを汲み取って取りまとめたりする必要がありました。その際にコミュニケーションを丁寧にすることで、各自治体の職員の皆様との信頼関係を築けるよう心掛けました。

もうひとつは、入札に向けた手続きです。契約や調達にスムーズに繋げられるよう、手続きについて各自治体と事前に協議を重ね、最終的な合意を得る必要があります。自治体によってはデジタル部門が窓口となっていても、実際の運用は別の部門が担っていることも多々あり、各自治体内での内部調整などの依頼にも協力していました。

共同調達に向けた事業者選定は初めての試みだったため、思いもよらぬ課題が浮上したり調整事項が浮上したりと想定外のことも多くありました。マンパワーで頑張った部分もありハードでしたが、区市町村の皆様とまさに“協働”したおかげで事業者の選定を行うことができ、次につながる結果になったと思います。

── 技術的な面で苦労はありましたか?

藤田:デジタルツールひとつとっても、「これはLGWAN(自治体専用回線)でしか使えない」「インターネット環境下で使いたい」「オンプレで使いたい」など、各自治体によって利用環境が異なることがわかりました。全てのニーズに応えることは難しく、悩ましかったですね。

セキュリティの観点においても、厳しく対応したい自治体もいらっしゃれば、ツールとして最低限の機能を使えれば良いと考えている自治体もいらっしゃって、バラツキがありました。「ハイスペックなツールがほしい」「今はツールがないので、まずは使いやすいものがほしい」と真逆の要望をいただくケースもあり、それらの取りまとめにもかなり苦労しました。

中には「費用感によっては難しい」とおっしゃる自治体もいらっしゃって。今後はそういった課題を解決するためにどのように対応していくか、検討していきたいと思います。

4つのバリューの提供を実現し、共同化をさらに加速させる

── 今後、共同化グループが目指す方向性について教えてください。

岡部:先ほどご紹介したように、4つのステップを通じてバリューを提供していきたいです。まずは「知恵の共有」や「道具の共通化」を確実に進めて、区市町村のみなさまからの信頼を得ながら共同化の基盤を確実に構築していきたいと考えています。同時に、共同調達に参加してくださる自治体ももっと拡充していきたいですね。

また自治体同士の連携だけでなく、事業者の力も借りながら共同調達いただいた自治体内でのデジタルツールやシステムの活用促進を目指していければと思っています。事業者と共に「こういった使い方が良かったですよ」と伝えられるようなワークショップを積極的に展開していきたいです。

── 理想の姿を実現するために、現在必要としていることは?

藤田:取り組みたい施策に対し、今は人手がかなり少ないのが現状です。

私たちが掲げる理想を実現するためには、事業者やGovTech東京の他部署など、いろいろな人と協力しながら取り組んでいく必要があると思います。

ステークホルダーの皆さんと協調しながら、一緒に取り組んでいける仲間を募集しています。

技術的な知識や協調性、リーダーシップがある方だと嬉しいですが、最終的に一番必要なのは熱意です。「区市町村の皆さんとあまり話したことがない」「自治体と仕事をした経験がない」といった方でも、熱意で補える部分は多分にあると考えます。

この仕事の醍醐味は、いろんな自治体に影響を与えられること。そして、社会への影響力が大きいことです。これからも社会的に意義のある仕事や挑戦的なテーマが増えてくると思います。そこに対して、自分たちで成し遂げたという達成感は大きな自信にもつながり、新たなモチベーションを生み出します。

GovTech東京では、東京都全体あるいは日本全体を変えていくような取組に当事者として関わることができます。これからもさまざまな組織の方々と協働しながら、共同化の拡大・推進に向けて着実に歩みを進めていきたいと思います。

※ 記載内容は2024年4月時点のものです


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